機能で見る不織布

機能で見る不織布

不織布は、軽量性・吸音性・環境配慮など、機能の組み合わせによって多様な価値を生み出せる素材です。本ページでは、不織布が持つ代表的な機能を切り口に、その特長や具体的な用途例、製品への活かし方をご紹介します。

不織布×耐衝撃性

製品に不織布を使用することによって耐衝撃性を与えることができます。
耐衝撃性とは、外部からの瞬間的な強い衝撃に対してものがどの程度耐えることができるかを示す性能を指します。また、ものの耐久度には耐久性という指標もあります。耐久性は、外部からの力に対して、ものがどれだけ長く抵抗できるかを示す性能を指します。

不織布は目付が大きいものでも加工前は柔らかく、外部からの衝撃に対し弱いことが多いですが、熱をかけて成形することによって硬さを持たせることができます。
当社の不織布成形品は、外からの衝撃に対して強いだけでなく、柔軟性があり割れにくいため、耐衝撃性と耐久性を兼ね備えていると言えます。

雑貨やパッケージは、それ自身が強い、または中身を外部の衝撃から守ることができる必要があり、高目付の不織布の成形品を使用するニーズがあります。不織布は流通量の多い樹脂製品に対して、色や質感で意匠性を持たせたい場合や軽量にしたい場合に適しています。

耐衝撃性を持った不織布成形品の一例として、機械製品のパッケージに当社の不織布成形品が採用されているものがあります。
こちらは、外からの衝撃に強いのはもちろんのこと、表面は不織布特有の柔らかい質感を残すことができており、製品と緩衝した際、樹脂製のものよりも製品に傷が付きにくいというメリットもあります。

用途例

電子機器用パッケージ、バスケット、モバイルバッグ、フェルトチェア「Refelt」、フェルトプランター、足つぼマット

不織布×軽量性

不織布は軽量化目的で活用されることが多くあります。
軽量化とは、物体また製品本体の機能性を維持しつつ、重量を減らすことを指します。そうすることで、エネルギー効率の向上や環境負荷低減、またコスト低減などといった付加価値を創出することが出来ます。

特に自動車業界では、軽量化により多くのメリット(燃費向上、組み立て時の作業性UPなど)を実現することが出来ます。既存の内装パーツは樹脂成形品(射出成形)がほとんどですが、一部で不織布の成形品に置き換えられているケースもあります。(自動車内装トリムなど)
ほか分野においても、クッション性のあるウレタンから繊維クッション材に置き換えられることが増えており、軽量化に加え通気性やリサイクル性などの付加価値が求められてきています。(鉄道シート・オフィスチェアなど)

軽量化が求められる分野に不織布の成形品を提案することで、軽量化以上の付加価値を創出でき、これまでにない製品の提案が出来ます。

用途例

自動車内装材(吸音、断熱材など)

不織布×環境配慮

当社では環境配慮の不織布を複数種類取り扱っています。環境配慮の不織布とは、主に生分解性のあるものやリサイクル素材を使用したものに分けられます。生分解性のある不織布には、ポリ乳酸(PLA)や、セルロース、コットン、ウールなどを主成分にしたものがあります。リサイクル素材を使用した不織布には、再生PETを使用したもの、不織布廃材から再生した繊維を使用したものなどがあります。

現在は様々な分野で環境配慮の不織布を使用するニーズがありますが、特に家具や雑貨、パッケージなどは、付加価値として環境配慮の不織布を使用した製品の需要が高くなっています。

当社製品にも、環境配慮の不織布を使用したものがあります。
ITOKI様のフェルトチェア「Refelt」には、座面に当社の不織布成形品が採用されています。このチェア座面には、使用済みペットボトルを回収、再資源化した再生PET繊維を約50%含むポリエステル不織布を使用しています。
河川工事用の護岸シートやホテル壁面用吸音材には、当社で裁断時に発生する不織布廃材の再生繊維を含む不織布が使用されています。
これらリサイクル素材を配合した不織布は、廃材の焼却時や不織布製造時のCO2排出量を削減することができるため、バージン材を使用した製品に比べ、製造プロセス全体におけるCO2排出量の少ない環境にやさしい製品をつくることができます。

不織布×吸音性

自動車やオフィス、建築などで「吸音性」というニーズは高く要求されていて、様々な素材がある中、不織布は他素材に比べて高い吸音性能を持っています。
吸音性能とは、ある物体がもつ外部から当たる音波を吸収することで、音の反射を抑えるような性質のことを指します。遮音性という言葉もありますが、遮音というのは音が外部へ漏れることを防ぐため、内部で反響されます。
自動車ではBEV(バッテリー車)の普及における車内空間の快適性向上のため、静音化ニーズが高くなっております。他にも、建機の振動音、オフィス空間での反響対策など吸音や遮音に対するニーズは続きます。
吸音材として活用される材料は繊維製品の他にもウレタンなどの発泡体も存在しますが、不織布は構成される繊維の種類や製造方法を変えることによって、求められる吸音性能に合わせることができるため、ウレタンなどの発泡材に比べて柔軟性が高いことがメリットとしてあります。
その不織布を当社で成形ラミネートなどの加工を行い、その 機能を損なわずに最終製品のご提案が可能です。オフィス用吸音パーティションや、自動車部品の吸音カバーなどで高付加価値の製品をご提案することが出来ます。

不織布×撥水性

不織布は加工により撥水機能を付与することが可能です。
これにより水や汚れを弾きやすくなり、製品の耐久性や清潔性が向上します。
自動車業界ではドアトリムやカーペットなど水分に触れる可能性のある部位に活用できます。
さらに通気性を維持しながら撥水性を両立できるため、ムレやにおいの対策にも貢献でき、快適性や製品寿命の延長といった付加価値の提供にもつながります。

用途例

アウトドア用品、裏面材(インサート成型時の液漏れを防ぐ)

不織布×通気性

不織布の特徴としては高い通気性を実現できます。
通気性とは空気や水蒸気が内部を通過しやすい性質のことで、内部に熱や湿気を溜め込まず、外部へ逃がす働きを指します。通気性が高い素材は、蒸れや結露を防ぎ、快適な使用環境を維持するうえで重要な要素となります。
通気性の需要は快適性や安全性、耐久性が重視される分野を中心に年々高まっています。
特に人が長時間接触する製品や、温度・湿度の影響を受けやすい用途では、通気性の有無が製品価値を大きく左右します。
例えば自動車のシートバックや天井材では、こもりがちな熱や湿気を逃すことで快適性が向上し、ユーザーの満足度向上につながります。
従来のウレタンと比較すると不織布は通気性に優れ、経年劣化しにくいという利点があります。
ウレタンは密閉構造であるため湿気がこもりやすく、長期使用でヘタリや加水分解といった劣化が発生しやすい傾向があります。
一方、不織布は通気性・リサイクル性を調整できる柔軟性があり、より軽量かつ環境負荷の少ない素材選定が可能です。
また農業用シートや医療用マスクなど、人や環境に優しい設計が求められる場面でも通気性のある不織布は重宝されています。

用途例

オフィスチェアなど

不織布×親水性

不織布に親水処理を施すことで、水や液体を吸収しやすくなる機能を持たせることが可能です。
代表的な用途として、天井材やフロアカーペットの裏材に使用することで、結露や湿気を吸収し、車内環境の悪化を防ぎます。
また、EVで課題となるバッテリールーム周辺の結露対策材としての活用も進んでいます。
自動車以外の分野では肌当たりのよさと吸水性を両立した製品として、紙おむつやフェイスシートなどにも活用されており、使用感の良さと高い機能性の実現が可能です。

用途例

フェイスシートなど

不織布×クッション性

クッション性とは、衝撃を吸収し和らげる性質を指しますが、用途によりその特徴は異なります。例えば、椅子のクッション性とは、柔らかさ、体圧分散、快適性、疲労軽減の特徴があげられ、靴のクッション性は、衝撃吸収や反発性が求められます。 
クッション性の機能を持たせた不織布の例としては、嵩高不織布(縦型不織布、固綿不織布等)があります。通常の不織布と嵩高不織布の違いは、繊維(ウェブ)の重ね方です。通常の不織布は薄いフリースを何層にも重ねているのに対し、嵩高不織布は繊維を縦方向に重ねボリュームを出すなど重ね方に工夫を施しています。よって、通常の不織布と比較し同じ目付でもクッション性を持たせることが可能です。
自動車のシートやソファ、マットレスなどクッション性を持たせたい製品には一般的にウレタンが使用されます。一方で最近は、環境配慮の観点からもウレタンを不織布に代替えする動きが増えており、クッション性を持たせた不織布の需要が高まっています。

用途例

オフィスチェアなど

不織布×その他

その他にも、様々な機能を不織布と組み合わせることが可能です。

活性炭不織布(NMP):粉末状の活性炭を不織布に含侵させた素材
用途:脱臭やガス吸着、空気清浄、鮮度保持など